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もりあそびより
頭足人と、ジラをくう子どもたち
- その他の活動

頭足人って、知っていますか。
以前、至誠館大学の石川先生から聞いた話。
子どもたちは発達の過程で、必ず「頭足人」を描くのだそうです。
頭からそのまま手足が伸びている、人の絵。
小さな子どもが描く、あの独特な姿です。
いつの時代の子どもたちも、
世界のどこで生まれた子どもたちも、
早い遅いの違いはあっても、必ずこの頭足人を通って、
少しずつ「人」を描くようになっていくのだといいます。
ところが近年、その頭足人を描かずに、
いきなり「人」を描く子どもが増えてきているそうです。
それは、大人が、頭足人を描く前に、
「人の描き方」を教えてしまったからではないか、
そんなふうに先生は話されていました。
人類が誕生してから、
どの時代を生き、どこで生まれた人も、
当たり前のように描いてきた頭足人。
それを飛び越えてしまったことで、
目には見えないけれど、
もしかしたら何か大切なものが、
欠けてしまったかもしれない。
そんな、静かな問いかけのようなお話でした。
少し話は変わりますが、
最近、「ジラをくう」子どもを見かけることが、
減ったなあと感じます。
「ジラをくう」とは、
わがままを言う、駄々をこねる、ぐずる、といった意味。
街中で、ひっくり返って自己主張する子どもたち。
「嫌だ」「〇〇したい」快、不快、そのすべてを、
全身からあふれるエネルギーでぶつけてくる姿。
そばにいる大人は本当に困ってしまうのですが、
少し離れて見ていると、いやー、ほんとにすごい、素晴らしいとしかいいようがない。笑。
あんなエネルギー、大人にはありません。
もちろん、大人がやっていたら問題なのですが。
今では、そんな「ジラ」をくう子どもに、
スマホやiPadをさっと渡せば、
その場を落ち着かせることができるようになりました。
子どもたちもとても賢くて、
スマホやiPadが欲しくて、あえて「ジラ」をくってみる、
そんな逆転現象も起こっていることでしょう。
「ここでジラをくえば、ママはスマホをくれる」
その見極めの鋭さは、
いつの時代の子どもたちも、実は変わっていない気がします。
そういうところには、よく知恵が回る子ども達です。笑
そう考えると、
「ジラ」をくわなくなった子どもたち、
全身で自分の気持ちを表現する機会が、
知らないうちに減ってしまった子どもたちの姿が、
少し気にかかるのです。
これは決して、
今の親世代だけの問題ではなく、「ジラ」をくう(子どもが泣く)ことに対する、
社会全体の余裕や寛容さが、少しずつ失われてきたことも、
関係しているのではないでしょうか。
子どもたちが失いつつある頭足人やジラ。
それは子どもだけの話ではなく、
私たち大人自身も、便利になりすぎた社会の中で、
たくさんのものを手放してきた結果なのかもしれません。
得たものの大きさだけでなく、
その代わりに、何を失ってきたのか。
その価値にも、そろそろ目を向けてみてもいいのではないか、
そんなことを考えています。
失ったものを取り戻すのは、
本当に、簡単なことではないのですから。
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