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もりあそびより
わからないと言い続ける力
- 森のイバーショ

先週の土曜学校のとき、子どもたちから
「油谷キャンプのお小遣いを増やしてほしい」というお願いがありました。
もちろん大人たちでも検討しましたが、
やっぱり子どもたちと一緒に考えたいと思い、
昨日の朝の会でお小遣いについて話し合うことにしました。
お父さんお母さんは、すでに土曜学校に通わせるために
十分なお金を出してくださっているのでこれ以上お願いするのは難しいこと、
私が出してもいいけれど、子どもは17人もいるので、
ひとり分はほんの少しになってしまうこと、
家でお手伝いをしてお小遣いをもらう案も考えましたが、
お手伝いに対してお金を渡すかどうかは各家庭の方針によるので、
それを全員に求めるのは難しいことなどを話しました。
そして子どもたちに、ということで、どうする?と問いかけると、
子どもたちはいろいろなアイディアを出してくれました。
そんな中で、Aちゃんがひとつの案に「納得できない。わからない」と言いました。
私や年長のBが一生懸命説明しても、「意味がわからない」と首をかしげます。
何度説明しても「わからない」と言い続け、
一生懸命、何がわからないかを伝えようとしてくれました。
Aが理解力が足りないわけでなく、私たち自身が何につまずいているのかを
理解できていなかったようで、
でも、Aの言葉を聞き続けるうちに「そうか、そこだったのか」と気づき、
ようやくAにとって腑に落ちるような説明をすることができました。
この「わからない」→説明する→「やっぱりわからない」というやりとりを、
30分近く繰り返していたと思います。
「もういいや」と投げ出さず、何がわからないのかを伝え続けたA。
私たち大人が同じ状況にいたら、たぶん自分が納得していなくても、
空気を読んで曖昧に笑って「わかった」と言ってしまっていたかもしれません。
Aは、納得できるまで「わからない」と言い続けてくれました。
本当にすごいことだと思います。
私は「諦めずに『わからない』って言い続けてくれてありがとう。
すぐにわかってあげられなくてごめんね」と伝えました。
するとAは、「学校だったら、先生に当てられて私が『わからない』って言うと、
『じゃあ次』ってすぐ次の人が答えるんよね。最近はもう当てられんくなった」と
言いました。
ああ、そうか――。
それは、学校ではよくある風景。でも、その「普通」は当たり前じゃないんですよね。
そんな当たり前と思われる光景で傷ついて置き去りにされていく子どもたちが
たくさんいるのかもしれません。
そして、ただ「ありがとう」と言っただけで、その風景に違和感を持ち、
言葉にしたAは、本当にすごいなと思います。
森のイバーショで、これから毎日子どもたちと過ごすようになったら、
違和感や「おかしいな」と思うことを、みんなで言葉にできるような、
そんな場をつくっていきたいと心から思った出来事でした。
写真は、梅干し作りには参加せず、水遊びとおしゃべりを楽しむA。
大好きだよー。
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sayuri.I