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もりあそびより
怖い物があること
- 園の日常

いつものフィールドへ向かう道すがら、Jが突然叫びました。
「こわーい。怖くて歩けない。」
驚いて周りを見渡しましたが、特に怖そうなものは見当たりません。
Jの小さな指が指す先には、道の反対側のガードレールに張り付いた、細長い埃がありました。
「ヘビみたいで怖いよ。」
確かに蛇のようにも見えます。
Jがそう言うと、他の子どもたちも次々に「怖い」と言い出し、立ち止まってしまいました。
すると、Iが落ち着いた声で言いました。
「あっち側通らないんだから大丈夫だよ。」
Jはまだ不安そうでしたが、後ろにいた子に促され、歩き出しました。
怖いという気持ちを共有し、前に進む。
それだけで、ほんの少し勇気が湧いてくるものです。
橋を渡って歩いていると、Jがふと話し出しました。
「あぁ、怖かった。押し入れに閉じ込められたことある?」
「押し入れはないけど、ひいおじいちゃんに蔵に入れられたことはあるよ。」
私がそう答えると、Jは目を丸くしました。
「暗いところに閉じ込められると怖いよね。Jは怖くて泣くよ。」
「かよさんは蔵に閉じ込められたとき、どうしたの?」
「初めは泣きそうだったけど、蔵の階段を上って、箱を積み重ねてよじ登って、2階の小さい窓を開けて外を見ていたら、怖くなくなったよ。」
「明るいところを探せばいいのか。」
Jは納得したように、うなずきました。
怖さを乗り越える方法を、子どもなりに考えていく。
その姿がとても頼もしく感じました。
その日の保育を終え、私はそのまま我が子を迎えに幼稚園へ向かいました。
いつもの扉をガラガラと開け、タブレットの降園ボタンを押していると、左手をトントンと叩く小さな手がありました。
「我が子かな?」と思って振り向くと、見知らぬ女の子が少し怯えた顔で立っています。
「も…もしかして…お、鬼?」
その瞬間、私は気付きました。
今日の私は、保育のときのまま 真っ赤なカッパ を着ていました。
そういえば、幼稚園から「赤鬼と緑鬼が各クラスを順番に回った」と、写真付きのメールが来ていたなぁ…。
「わ、私が赤鬼だと思ったんだ!」
なんだか申し訳ないような、ちょっと恥ずかしいような気持ちになりながら、
「大丈夫、私は鬼じゃないよ。」
と声をかけると、その子はホッとした表情になり、元気に走り去っていきました。
大人もそうですが、子どもにとって「怖い」と感じることは、とても大切なことです。
それは 危険を察知する力 であり、 未知のものに向き合う第一歩 でもあります。
怖さを誰かと共有し、どうすれば怖くなくなるのかを考え、知恵を出し合うことで、子どもたちは成長していきます。
そして、私自身もまた、子どもたちの姿から学びます。
怖いと感じたら、その気持ちを素直に伝えてみる。
そして、どうしたら前に進めるかを、一緒に考えてみる。
そんな関わりを大切にしたいなぁと思います。
かよ
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