特定非営利活動法人もりのこえん

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もりあそびより

本年もどうぞよろしくおねがいいたします

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あけましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

昨年、NHKで、岡山県・上籾地域の特集を見ました。
棚田特有の小さな田んぼ、それを縫うように通る長い水路。
代々受け継がれてきた知恵を活かし、地域の皆さんが協力し、助け合い、
支え合ってきた暮らしが、1000年ものあいだ続いてきました。
しかし今、その営みが立ち行かなくなっています。
それは、上籾に限らず、日本中の里山で起こっていることでしょう。
「1000年」という数字が示されたとき、ひとりの人生では到底計り知れない時間を、
人は連綿と続けてきたのだと胸を打たれました。
そして、その営みを手放したとき、人は本当に人として生きていけるのか――
そんな不安を覚える特集でした。

2014年にもりのこえんを立ち上げた当時、2歳児の保育を行う幼稚園はほとんどありませんでした。
「小さな時から自然とともに過ごしてほしい」という願いから、
私たちは2歳児からの保育を始めました。
その後、働く保護者の増加、教育無償化、認定こども園の拡大など、
幼児教育と保育の仕組みは大きく変わり、家庭が選べる環境も広がりました。

一方で、この11年のあいだに子どもたちを取り巻く状況も大きく変化しました。
不登校はこれまでにない規模で増え、小中高生の自殺者数も過去最多となり、
子どもたちの心が置かれる環境に深刻な課題が生まれています。
便利さや効率が進む一方で、子どもたちが安心して自分らしくいられる場所、
人と自然のあいだにある「ふつうの体験」が、以前よりも手に届きにくくなっているように感じます。

もりのこえんが歩んできた11年は、
子どもたちと社会の変化を間近で見つめ続けてきた時間でもありました。

あるデータでは、昭和の時代には、3~6時間あった外遊びの時間は
2023年度には、30分を切るようになり、平日の外遊びの時間は、
0と答えた幼児が46.6%にも上っています。
また、一日で歩く歩数は、 80年代には、小学生2万歩、年長児1万歩だったのが、
現代では半分以下になっています。

こうした生活の変化が、子どもの体や心の発達にどう影響していくのか、
私たちは見過ごせない不安を抱えています。

🌿 森のようちえんが子どもにもたらすもの

森の中で過ごす時間は、子どもたちにとって何より
「体で世界を理解する学び」の場です。
木々の音や風の冷たさ、土の湿り気、生きものの気配——
五感のすべてを使って自然と向き合うことで、室内では得られない豊かな経験が積み重なります。

外を歩くこと、坂を登ること、川辺を渡ること。
こうした動きは体力や筋力を育てるだけでなく、「どうすればできるか」を自分で考え、試し、
また挑戦する機会になります。転んで、汚れて、また立ち上がる。
その繰り返しが、しなやかで折れにくい心を育てます。

自然の中には、自分の思い通りにならないことがたくさんあります。
季節の移ろい、突然の雨、生きものたちとの出会い。
それらは、自然への畏怖と敬意を育み、「自分は自然の一部として生かされている」
という感覚へつながっていきます。それは、命への尊厳を学ぶことでもあります。

そして、森のようちえんでの「遊び」は大人が与えるものではなく、
子どもが自分で生み出すものです。
枝は道具に、落ち葉は宝物に、水たまりは冒険のステージへと変わります。
そこで、子どもたちは工夫し、役割を決め、交渉し、ときにぶつかりながら
仲間と世界をつくっていきます。
自発的な遊びは、創造性はもちろん、コミュニケーション力や問題解決力を自然と育てていきます。

自然の中での学びは、目に見える成果として表れにくいことがあります。
しかし、体験を通して得た感覚や気づきは、時間をかけて子どもの心と体を支える
大切な土台となります。

もりのこえんは、単に外で遊ぶ場所ではありません。

子どもたちが自然とともに生き、世界を信頼し、
自分自身を育てていくための、かけがえのない環境そのものです。

そして、その営みを11年間続けてこられたのは、
皆さまのあたたかなご支援があったからこそです。

変化の大きい時代だからこそ、私たちはこれからも、
森で子どもたちとともに、未来につながる時間を丁寧に育んでいきたいと思います。

どうか、本年も変わらぬご支援をいただけますと幸いです。

皆さまにとって、穏やかで希望あふれる一年となりますように。

心より願いをこめて。

認定NPO法人 もりのこえん 代表理事 井出崎小百合

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